コブハクチョウという外来種の白鳥がネットで微妙に盛り上がったので記事にします。
コブハクチョウは、体長1.4メートルから1.6メートルにも達し、翼を広げると2メートル以上にも及ぶ巨大な水鳥です。その白い羽と長い首、そして特徴的なオレンジ色のくちばしは、野鳥愛好家にも非常に人気のある鳥でもあります。
名前の由来にもなっているクチバシの付け根にボコっとコブがあるのが特徴です。
一見するとただのハクチョウですが、実はれっきとした外来種です。
外来種としてのコブハクチョウ
コブハクチョウは本来、ヨーロッパや中央アジアに生息していましたが、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、観賞用や食用として世界各地に移入されました。
その美しい姿と温厚な性格から、移入地ではしばしば公園や湖などで飼育され、放たれることもあったようです。
近年では、2012年に山梨県で放鳥されていたりします。
コブハクチョウの生態と繁殖
コブハクチョウは一般に、湖や河川、湿地などの水辺に生息しています。彼らは水草,穀物,昆虫を主な食料とします。カモ類なので水中で採餌することもあります。
繁殖期には、ペアで大きな巣を作り、その中で数個の卵を産みます。4月になると、水際にペアのコブハクチョウを見かけることが多くなります。
5月になると卵は孵化し、コブハクチョウの雛が誕生します。そして雛は親鳥から学び、成長していきます。
コブハクチョウが生態系に及ぼす影響
移入されたコブハクチョウは、生息地の生態系に深刻な影響を与えることが確認されています。
彼らは自然な生息地に定着し、地元の水鳥との生存競争を激化させます。また、彼らの大量の糞や足跡は水質汚染の原因となり、水生生物の生存環境を悪化させることもあります。
コブハクチョウは意外に凶暴
ただのハクチョウと侮ってはいけません。コブハクチョウは意外にも凶暴な側面を持っています。
とくに繁殖期のコブハクチョウは雛鳥を守るために攻撃的になるとされています。間違っても餌をあげに近づいたりしないようにしてください。
FNNプライムオンライン、『車のボディが傷だらけ…車を襲うハクチョウ 実は招かれざる外来種「コブハクチョウ」 “凶暴化”の原因はエサ不足?』
TBS NEWS DIG、『巨大で無敵 外来種「コブハクチョウ」じわり増加 被害懸念「日本にいてはいけない鳥」』
コブハクチョウの管理と対策
コブハクチョウの管理と対策には、様々なアプローチがあります。その一例として、生息地の管理や繁殖制御、有害鳥獣駆除の実施などが挙げられます。
当サイトの管理人は成田市を拠点に狩猟生活を送っているのですが、実は成田市もコブハクチョウの被害に悩まされています。2024年度の有害鳥獣駆除では、コブハクチョウの卵が駆除対象に追加されました。(駆除活動について以下の動画にまとめましたので、ご興味あるかたはぜひご覧ください。)
コブハクチョウの味
コブハクチョウの味は、わかりません。コブハクチョウは狩猟鳥獣ではないので、その肉を入手する方法は基本的にはありません。
ただ、カモ目カモ科であり、餌が水草や穀物といった植物性であることを踏まえると、それほど不味くないのではと筆者は予想しています。
まとめ
コブハクチョウについて、いろいろと解説してみましたが、いかがだったでしょうか。特定外来生物ほど差し迫った脅威があるわけではありませんが、もしこのまま数が増えていくと指定される未来があるかもしれません。
コブハクチョウはたしかにキレイな鳥です。公園にいればそれだけで絵になるような鳥です。しかし、本来は日本に存在しない鳥であることは忘れてはいけません。
参考文献
国立環境研究所、『侵入生物データベース』、https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/20010.html
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