狩猟におけるダニ対策まとめ

狩猟中にダニと遭遇するリスクは非常に高いです。

特に森林や草むら、湿った環境ではダニが生息しやすく、狩猟活動中に身体に付着する可能性があります。

鹿や他の野生動物がダニの運び手となり、狩猟者がこれらの動物と接触することでダニに噛まれることもあります。

この記事では、狩猟するうえでは切っても切り離せない「ダニ問題」について、その対策を中心に解説しようと思います。

注意すべきダニの種類

ダニは非常に種類が多いのですが、狩猟において注意すべきは以下のダニです。

マダニ

  • マダニは、草むらや森林に生息する大型のダニです。成虫は吸血することで体が大きく膨らみ、血を吸った後はそのまま動物の体から落ちていきます。
  • マダニは全てのステージ(幼虫、若虫、成虫)で吸血を行い、人や動物に寄生します。
  • 春から秋にかけて活発に活動し、特に温暖で湿度の高い環境を好みます。

ツツガムシ

  • ツツガムシは、野外の湿った草地や河川敷に生息する小型のダニです。成虫は主に土壌中に生息し、幼虫が人や動物に寄生して吸血します。
  • 幼虫は非常に小さく、肉眼ではほとんど見えないため、気づかないうちに咬まれることがあります。
  • 活動時期は春から秋にかけてで、特に夏場に活動が活発になります。

ダニによる健康被害

ダニに噛まれると様々な健康被害が生じる可能性があります。

  • マダニはさまざまな感染症を媒介することが知られています。特にライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、日本紅斑熱などが挙げられます。
  • 吸血による直接的な被害としては、痒みや炎症があり、咬まれた箇所が赤く腫れることがあります。
  • ツツガムシはツツガムシ病(日本紅斑熱)を媒介します。この病気はリケッチアという細菌によって引き起こされ、高熱、発疹、頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。
  • ツツガムシ病は適切な抗生物質治療が必要で、放置すると重篤な症状を引き起こすことがあります。

狩猟前のダニ対策

狩猟前にはダニ対策を徹底することが重要です。

まず、防虫スプレーを使用して衣類や装備にしっかりと噴霧します。特に、DEET(ディート)やイカリジンを含む忌避剤が効果的です。

また、長袖、長ズボン、長靴、帽子、手袋などを着用して皮膚の露出を最小限に抑えましょう。

その際、シャツの袖口を手袋の中に入れ、ズボンの裾口は長靴の中に入れるとダニが服の中に入り込むリスクがぐっと減ります。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html

【余談】虫除けスプレーの匂いは鹿に禁物か?

「柔軟剤の匂いで獲物に気づかれる」とか「シャンプーの匂いが鹿を遠ざける」とか主張するハンターがいますが、基本的に鹿はその程度では気がつきません。よって虫除けスプレーの香料もそこまで気を使わなくて大丈夫です

(年配ハンターは猟場でガンガンにタバコ吸ってますよ笑)

狩猟中のダニ対策

狩猟中はダニが付きにくい行動を心がけます。定期的に服や装備をチェックし、ダニが付いていないか確認することが効果的です。

また、休憩する場所はできるだけ開けた乾燥した場所を選び、地面に直接座らないようにすることも重要です。

特に一番注意すべきなのが、獲物を運搬するときです。猪は泥遊びをするのでダニがついていることはほとんどありません。一方で、鹿はダニが間違いなくついています。

獲物がとれたときは、運搬前に全体に殺虫剤を振りかけることが有効です。山に入るときは殺虫剤をカバンに入れておきましょう。

狩猟後のダニ対策

狩猟後には速やかにダニのチェックを行います。帰宅後はできるだけすぐに入浴することをおすすめします。その際、身体全体を丁寧にチェックし、特にダニが好む部位(腋の下、膝の裏、股間など)を確認しましょう。

衣類や装備はすぐに洗濯し、乾燥機などで高温乾燥でダニを駆除します。

もしダニが皮膚に付着している場合は、無理に引き抜かず、ピンセットで慎重に取り除きます。

ダニ対策グッズの紹介

ダニ対策には様々なグッズが役立ちます。以下にいくつかのおすすめアイテムを紹介します:

  • 防虫スプレー:DEETやイカリジンを含む忌避剤は、ダニ対策の基本です。
  • ダニ取りシート:キャンプや休憩時に使用することで、地面からのダニの侵入を防ぎます。
  • 防虫服:特殊な素材で作られた防虫服は、ダニの付着を物理的に防ぎます。
  • ダニ取りピンセット:万が一ダニが付着した場合に、安全に取り除くための専用ツールです。

まとめ

ダニ対策は狩猟を安全に楽しむために欠かせない要素です。狩猟前、狩猟中、狩猟後のそれぞれの段階で適切な対策を講じることで、ダニによる健康被害を予防し、快適な狩猟体験を確保しましょう。

適切な装備と行動、そしてダニ対策グッズの活用により、ダニのリスクを最小限に抑えることができます。安全で楽しい狩猟をお楽しみください。

参考文献

国立感染症研究所、『マダニ対策、今できること』、https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html


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