鹿?いいえ、キョンです。

キョンとは?

キョンは、日本の特定外来生物として知られる小型のシカです。もともとは中国や台湾に生息していましたが、ペットとして輸入されたり、動物園や公園で飼育されていた個体が野生化したりして、日本国内でも見られるようになりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A7%E3%83%B3

外見と特徴

キョンは非常に小型のシカで、体長は約90センチメートル、体重は15キログラム程度です。一般的なシカとは異なり、オスでも角がほとんど目立たないのが特徴です。毛色は赤褐色で、尾の裏側は白くなっています。

生態と習性

キョンは主に草食性で、草、葉、果物などを食べます。非常に警戒心が強く、人間や他の動物に対して敏感です。

繁殖期は通年といわれており、一回に一匹の子供を産みます。一年を通じた繁殖力がキョンを大繁殖させた要因でもあります。

また、鹿とは違い、単独行動を好むのが特徴的です。筆者は千葉県南部で鹿狩りを嗜むのですが、キョンが群れを作っているところを見たことがありません。

生息場所

キョンの生息地は、現在のところ千葉県と伊豆大島です。千葉県では、かつて行川アイランドというテーマパークで飼育されていた個体が脱走し、定着してしまったと言われています。幸運なことにも、現在はこの二か所以外での定着は確認されていません。

なぜ千葉にしかいないのか?

本州におけるキョンの定着地が千葉県だったことは不幸中の幸いです。というのも、千葉県はその地理的要因から、陸上生物が非常に移動しずらいからです。

千葉県は太古の昔には島だったと言われるほど、山地が多くありません。とくに千葉県北部や西部は平野が広がっています。そして、北部は利根川、西部は住宅地、と動物の移動経路が分断されているのです。

こうした理由から、千葉県は野生動物が非常に移動しずらいといわれています。

茨城にも分布が広がっているかも….?

ところが、近年ではキョンが川を渡っているのではないかという懸念が上がっています。

その証拠に、茨城県では2023年に入ってからキョンの目撃情報が急増しています。以下は茨城県が提供している目撃マップです。

https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/kansei/tayosei/documents/mokugekichirashi.pdf

このマップを見る限り、キョンは利根川近辺ではなく、筑波山近辺にまで到達している可能性があります。

キョン目撃報奨金

というわけで、茨城にまで生息域を広げつつあるキョンですが、自治体も手をこまねいているわけではありません。茨城ではキョンの目撃情報に報奨金を設定し、情報提供を呼びかけています。(※報奨金を受け取るには条件がいくつかあるので、ソース元をしっかり確認してくださいね)

ジビエとしての価値

ここまで問題になっているキョンですが、キョンを資源として有効活用する動きも広まっています。家畜動物ほどではないですが、キョンも動物資源として非常に優秀な一面があるからです。

肉は非常においしいです

肉のお味は非常に美味です。お肉の種類としてはほとんど鹿肉と同じですが、鹿よりおいしいと思います。とくに鹿肉特有の臭みがないです。そして鹿肉ほど硬くないのが特徴です。

毛皮は非常になめらか

毛並みは非常になめらかです。鹿と比べると、圧倒的に素材としての価値を感じると思います。

商品化する上での問題点

食材としても素材としても上々なキョンなのですが、市場に流通させるにはいくつか問題点があります。

個体が小さい

キョンは中型犬くらいまでしか大きくなりません。大きくならないということは、一回の解体で得られる歩留まりがそれほど大きくないということです。

解体効率が悪く、たくさんのお肉を得るためには、たくさんの個体を解体しなければなりません。

狩猟鳥獣に指定されていない

キョンは残念ながら狩猟鳥獣に指定されていません。狩猟鳥獣とは登録狩猟でハンティングしていい動物のことです。つまり、キョンを捕獲するには、自治体から有害鳥獣駆除で許可をもらうしか方法がありません。

そしてこの有害鳥獣駆除ですが、誰でも許可がもらえるわけではなく、基本的には該当地域に居住するハンターが猟友会などの斡旋を受けて従事します。県外ハンターは基本的には受け付けてもらえないのが現状です。

狩猟鳥獣に指定できないわけ

じゃあ狩猟鳥獣に指定すればいいじゃん、とお考えの方も多いと思いますがなかなかそうはいきません。いくつか理由があるらしいのですが、「狩猟鳥獣=狩猟価値がある動物」となると千葉県外で放獣する人が出てくる、という理由が有力です。

(まぁ、放獣したくなる気持ちはわからないでもないです。鹿と違って小型なため、1人でも運搬できてしまうので、獲物として非常にお手軽なんですよ…。)

キョンの目撃情報共有にご協力ください!

市町村もようやく腰を上げ始めたキョン対策ですが、いかんせん行政システムはお察しです。茨城県の報奨金制度は良いと思うのですが、集められた情報がどこで開示されるのかが不明です。けっきょく市役所に上がった情報は市役所止まりになってしまうという…..笑

というわけで、市役所だけでなく民間でも情報共有を活発にしていきたいところですよね。もし情報共有にお手伝いしていただけるなら、以下のようなアプリを使ってみるだけでも非常に大きな貢献になります。

もしくは、われわれのDiscordコミュニティ「オンライン猟遊会」で直接話かけてもらってもいいです。あなたの大事な情報をぜひほかの人たちにシェアしてみてください!

まとめ

キョンはその可愛らしい外見から人気がありますが、日本の生態系や農業においては大きな課題となっています。適切な管理と対策が求められており、キョンに関する正しい知識を持ち、適切な行動を取ることが大切です。


Comments

“鹿?いいえ、キョンです。” への1件のコメント

  1. えむけーのアバター
    えむけー

    役所がキョンの生息数を調査しているのであれば、結果を開示請求してみるのも手段のひとつとして有効かもしれませんね。
    公益性のある情報だと思いますし、、(聞いたら普通に教えてくれるかもしれませんが💦)

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